金次郎のお話し

江戸時代のV字回復請負人 二宮金次郎の生涯①

二宮金次郎さんといえば、薪を背負って本を読んでいる少年。

そんな金次郎さん、実は数多くの農村を立て直した凄腕お役人さんだったことをご存知ですか?

アップルのスティーブ・ジョブズ、USJの森岡毅、メガネスーパーの星崎尚彦など、凄腕ビジネスパーソンが企業の立て直しで活躍している現代から、遡ること200年。なんと、およそ600もの農村を復興させた驚愕の人物!

そんな江戸時代のV字回復請負人、二宮金次郎さんの活躍をコウブン和尚がインタビュー形式でご紹介していきたいと思います。

昔はどこの小学校にもあったという金次郎像。

最近では歩きスマホは危ないということで、座り金次郎像もあるらしいですね。

そもそも、なんで薪を背負って本を読んでいたんですか?

ワシ、貧乏の極地やったからね・・。

親もはよに死んでしもたし、ちっちゃい頃から働かへんと食っていけへんかってん。

それはお気の毒です・・。

そうやろ?

せやけど、農家でも勉強は必要やと思うてたから、働きながら勉強するにはどうすればええかと考えて、あのスタイルになりよったっちゅうわけやねん。

なるほど!

でも、歩き読書はちょっと危なくないですか?

実は、歩きながら読書はしてへんで。
家で読んだ本を、歩きながら大声で暗唱しとっただけやねん。

そうなんですか!?
でも、金次郎さんといえばあのスタイルじゃなですか?

どうやら明治時代に出版された書籍の挿絵がそのスタイルやったらしいで。知らんけど。
勤労・勤勉っちゅう2つのコンセプトを子どもに分かりやすく伝えるために、手に本を持った姿で描いたんやと思う。知らんけど。

(自信なさげ・・・。)

元々地主やった二宮家を、立て直すのに必死やったっちゅうことやねん。

せやけどお陰で、少しずつ土地買戻して、23歳の頃には土地を貸すまで復活してん。

すごい!

その頃からV字回復してたんですね!

少年時代から異彩を放っていた金次郎さん。

あの有名な「歩き読書」スタイルは、何がなんでも復興するぞ!という高い志しの現れなんですね。

ちなみに和尚。

ワシのすごさの秘密、教えまひょか?

(なんか調子に乗ってきたな‥。)
ぜひ聞かせてください!

ワシが10歳くらいの頃、大人に混じって酒匂川の堤防工事を手伝っとった。

しょっちゅう氾濫しとったからね。

ほう。それで?

いやね、まだ体が小さかったから、力仕事が出来ひんかったんや。

なるほど。
そうでしょうね。

でな、力のないワシでもできることないかな〜と思うて、ワラジを作って、作業しとるみんなにあげたんや。

それはきっと皆さん喜んだでしょう!

そうなんや!評価が爆上がりしてん。すごいやろ?

それだけではあらへんで。その土手が丈夫になるよう、松の苗を200本植えてん。

自分の役割をわきまえるだけじゃなく、
未来を見据えての自ら行動、子供とは思えない発想ですね。

ワラジを編む金次郎さん。

今自分にできることを、自ら考え実践する。
やはり並の子供じゃありません。

まだまだあんで。

ある日、田植えが終わった田んぼの近くに、余った稲の苗がほかしてあったんや。

(金次郎さんは自慢好き・・と)

聞いとる?

でな、その苗を拾って自分で育ててん。

え?勝手に拾って育てたんですか?

それはちょっと聞き捨てならないですね。

消えゆく命を救ったちゅうことや。
むしろ褒めるところやで。

そないなことよりも、秋になったらしっかり実ったんや。

なるほど!それで、どれくらい収穫できたんですか?

それがなんと1俵も採れよった!

現在の言い方だと、約60kgぐらいやな。

令和2年度の年間1人当たりの米の消費量より多いじゃないですか!
(※農林水産省ホームページより)

ワシの初めての成功体験やった。

この出来事で、小を積んで大を成す(積小為大)を学んだっちゅうことなんやで。

『積小為大』

小さな努力、小さな蓄積の累積がやがては、大きな収穫や発展に結びつくということ。
目の前のことを、きちんとやることが大切なんですね。

積小為大!
現代でも十分に通じる考え方です。
これはもう尊みが深いですね・・!

さて、名言も出たことですし、今回はここまでとしましょう。
金次郎さん、また次回もよろしくお願いします!

そうやね。

次回は青年時代の話やね。

ちなみに。
ワシとワシの娘の文子のお墓が和尚のお寺にあるらしいな。

そうなんですよ。
だから皆さんに金次郎さんのことを知ってもらいたくて。

嬉しいな〜。
これ読んどる皆さんもお墓参り来てな!

お待ちしております!